「何?」
視聴覚室の扉を開けると、たくさんの機材に囲まれた海斗(カイト)が、マイク片手に椅子に深く体をもたれていた。
「あ、来た。」
「……。」
あんたが呼んだからだろう
そう言い掛けたものの、
「だって探すの面倒だったから。」
雪月の言葉を先読みした海斗が、反省する色も無くそう答える。
「だから何?」
「うん、あのね。」
居室の入り口に仁王立ちをして、痺れを切らしそう繰り返した雪月に、海斗は焦る様子は微塵も無くその艶やかな髪を掻き分けた。
男のくせに肌は透き通る様に白く。
色素の薄い髪と瞳は、日本人離れした美しさだ。
「雪月の部屋ね、無くなるから。」
「は?」
