言いたい事は何となく理解出来た。
庭の件だけでは無い。
先ほどの陸との会話を、海斗はきっと聞いていたに違い無かった。
気にしすぎだと言われても、どうにも出来ない。
実の兄に何故ここまで避けられ、嫌われなければならないのか。
灰色の感情が、胸に渦巻いて永遠に消えてはくれない。
「はぁ。」
一つ深いため息をつき、さっさと部屋の中へと戻って行く海斗の後姿を見送った時。
振り返った視線の先、雪月の部屋とはまた違う、もう一つの硝子戸がある事に気づく。
二つの部屋を跨ぐ様にして、このバルコニーは存在するらしい。
「海!隣の部屋って…」
慌てて部屋の中へと戻った雪月は、立ち去ろうとする海斗をそう言って呼び止めた。
「ああ、俺の部屋。」
「……。」
ドアノブに手をかけたまま振り返ると、そう言って微笑む海斗に体を硬直させる雪月。
そんな雪月の姿を眺めて、海斗は企む様に呟いた。
「知ってる?美しい薔薇が咲くその下にはね、死体が埋まってるんだって。その血を吸って美しく赤く咲くんだ……。」
