海斗に案内されてたどり着いた部屋は、八畳程だった離れの倍近い広さがある美しい部屋だった。
壁やタイルは白をベースに細かい金色のラインが引かれていて、完備されているベッドや家具は全て特注であろう豪華な造りだ。
身長の二倍程はある高さの大きな硝子戸をひくと、突き出したバルコニーから工事を始めたばかりの庭が一望出来る。
「あれ、海?」
「ん?」
バルコニーの戸から部屋の中へ顔だけ戻して、我が物顔でベッドで寝転ぶ海斗に声をかけた。
「あそこだけ工事しないのかな。ロープみたいのがひかれてる。」
「ん…本当だ。」
結城家の豪邸前にある、広々とした庭。
その一番奥の一角だけが、黄色いロープで囲われていた。
他の場所はといえば、すでに植えてあった植物は引き抜かれ、土色の地肌をあらわにしているというのに。
「あそこは季節になれば綺麗な薔薇が咲くんだ。」
「そうだったっけ。」
「そうだよ。」
バルコニーの柵にもたれた海斗が、微笑みを浮かべて隣に立つ雪月の頭を撫でた。
「お前はいちいち気にしすぎ。」
「どういう意味?」
「さぁね。」
