校門をくぐると、ちょっとした坂道がある。
坂を登ってすぐ右手に校舎はある。
靴を脱いで内履きに履き替える。廻のクラス・一年三組は中央階段を上がってすぐだ。
「マワルー!おはよう!!」
教室に入るといきなりけたたましい声が聞こえた。
「ユミおはよう。今日もテンション高いね。」
「当たり前じゃない。朝課外が始まるってのに、テンション上げてかなきゃ身がもたないわよ。」
まるで理屈はわからないけど、ユミにはユミの理屈がある。
「何で高校生になると、一時間目の前のもうひとつ授業があるのよ?意味がわからないわ!」
ユミの言う朝課外とは、県の教育方針で県内の公立高校では全て実施されている。私立高校に関してはちょっとわからない。中学の頃に仲の良かった子達は全員他の公立高校にちりじりになってしまったから。
「県の教育方針らしいわよ。でもそのおかげで他県よりも成績はいいみたい。」
とユミの不満をかき消したのが、ケイコ。
私はケイコが好きだった。静かで大人びた性格が私の理想像に近く、それなのにまだまだお子様の私に対しても対等に接してくれる。そんなケイコが本当に好きだったのだ。
高校に入学して一か月、私はこの二人と過ごすことが多くなっていた。
「まあ結果が出ているのなら、しょうがないことよね。」
ユミはムスッとした顔で言う。
ユミは合理主義者だ。なぜ付き合いも短いのにそんなことがわかるのか。というのも自分で言ったからだ。お兄さんの影響でやっていたRPGが培ったのだと言う。
私には意味がよくわからないけれど。
「文句言いながらもちゃんと英語の教科書出してるんだから偉いわよね。」
と廻は言う。
教室廊下側後方の席にカバンをおいて、英語の教科書を取り出す。
いつもの動きだった。
そのいつもの動きの中に、教室窓側前方で、ほおづきをつきながら外を見ている男の子を一瞥するというものが含まれている。
彼の名前は、武田宙(ソラ)。
いつもいつも、けだるそうな感じで外を見ているだけだった。
坂を登ってすぐ右手に校舎はある。
靴を脱いで内履きに履き替える。廻のクラス・一年三組は中央階段を上がってすぐだ。
「マワルー!おはよう!!」
教室に入るといきなりけたたましい声が聞こえた。
「ユミおはよう。今日もテンション高いね。」
「当たり前じゃない。朝課外が始まるってのに、テンション上げてかなきゃ身がもたないわよ。」
まるで理屈はわからないけど、ユミにはユミの理屈がある。
「何で高校生になると、一時間目の前のもうひとつ授業があるのよ?意味がわからないわ!」
ユミの言う朝課外とは、県の教育方針で県内の公立高校では全て実施されている。私立高校に関してはちょっとわからない。中学の頃に仲の良かった子達は全員他の公立高校にちりじりになってしまったから。
「県の教育方針らしいわよ。でもそのおかげで他県よりも成績はいいみたい。」
とユミの不満をかき消したのが、ケイコ。
私はケイコが好きだった。静かで大人びた性格が私の理想像に近く、それなのにまだまだお子様の私に対しても対等に接してくれる。そんなケイコが本当に好きだったのだ。
高校に入学して一か月、私はこの二人と過ごすことが多くなっていた。
「まあ結果が出ているのなら、しょうがないことよね。」
ユミはムスッとした顔で言う。
ユミは合理主義者だ。なぜ付き合いも短いのにそんなことがわかるのか。というのも自分で言ったからだ。お兄さんの影響でやっていたRPGが培ったのだと言う。
私には意味がよくわからないけれど。
「文句言いながらもちゃんと英語の教科書出してるんだから偉いわよね。」
と廻は言う。
教室廊下側後方の席にカバンをおいて、英語の教科書を取り出す。
いつもの動きだった。
そのいつもの動きの中に、教室窓側前方で、ほおづきをつきながら外を見ている男の子を一瞥するというものが含まれている。
彼の名前は、武田宙(ソラ)。
いつもいつも、けだるそうな感じで外を見ているだけだった。
