しかし、陽菜は気づかなかった。 男の周りの床に、魔法陣らしき模様が刻まれていた事に。 そして、模様に足を踏み出した瞬間。 「えっ……きゃぁっ」 床が光りだし、光りの粒となり弾けた。 「つっ…」 いつの間にか、伸ばした腕が切れ血が流れていた。 さっきの光りで切れたのだろうか、血が男の口元付近に飛び散っていた。 「な…何で…」 血が流れる傷を抑えて、陽菜は牢屋を飛び出した。 その時、男が口元の血を舐めた事に陽菜は気づかなかった。