中に入って、思わず息を呑む。 黒く長いマントのような衣服をまとった男が、壁に凭れ、胸には剣が刺さっていた。 男は目を、閉じている。 その顔は驚くほどに秀麗だった。 今までで、こんな美形な人見たことない。 黒く艶やかな髪に、傷一つない白い肌。 誰もが魅了するだろう容姿に、陽菜は釘付けになった。 こんな所に、ましてや剣が刺さっているのだから人間ではないだろう… 彫刻か人形だろう。 と思い、陽菜は男に近づき頬に手を伸ばそうとした。