天使のララバイ


屋上には果てしなく続く青い空が広がっていたけれど、まだ1月の半ばということもあってかなり寒い。


早く話済ませよう。



「さっさと帰って」

屋上から下を眺めているアキに近づいて言った。


「えー、いいじゃん」


「よくない。邪魔」


「だって早く美憂のこと助けなきゃいけないし」


アキはあたしの方に向き直ってにこっと笑顔を作った。



「だから助けてなんて頼んでないって」



「そういう訳にはいかないよ」


あーもう、めんどくさい。



「じゃあ明日の朝はイカ墨ごはん食べてあげるから」


さすがに、椎茸食パンは無理だけどイカ墨ごはんくらいなら頑張れる。


それだけで学校についてこないようにしてくれるならお安いものだ。



別に何か特別なことをするわけじゃないけれど、アキがいるとひとりで落ち着く暇もない。



学校は嫌いだけれど、反対にいちばん落ち着く場所でもあるから。