あたしの横で浮いていたアキは心菜と拓斗があたしの隣に来たことによっている場所がなくなってしまった。



そのせいでアキはあたしの目の前で、あたしを見つめながら後ろ向きで進んでいる。


正直、かなりやりずらいし鬱陶しい。仕方ない。



「あたし1限サボるわ。
まだ具合悪いってことにしといて」

一時間でアキをなんとかして帰らせなきゃ。



「あーあ、学年いちの天才がそんなこと言っちゃって」

心菜は小さな声でそう呟いてから、

「えぇー美憂ちゃん大丈夫?
心菜心配っ!」

といつもの甘い声。



どこから出てるんだこの声は。


そう思っていると、反対側にいた拓斗も

「またサボりかよ」

と呟いてから、

「辛くなったら言えよ」

と心配そうな声であたしを気遣う。



ふたりとも、裏表の差が激しすぎる。


ふたりが何故そんな風に振る舞っているのかはわからない。


別に知りたいとも思わないけど。



「じゃーよろしく」


昇降口について、あたしはアキに無言で『来て』と目で訴えたあと真っ直ぐ屋上へ向かう。


こんなことなら何か家から食べ物持ってくればよかった。


なんて思いながら、屋上のドアを開けた。