「おはよ」


「昨日大丈夫だった?
風邪だったのー?」

彼女、早乙女心菜はあたしの2倍くらいのトーンで話す。



「面倒だからサボった」


「やっぱりね」

心菜はそう呟いたあと、

「心菜は美憂がいなくて寂しかったー」

と倍以上の声の大きさで甘い声を出した。



その甲高い声は普通ならうんざりしてシカトするところだが、心菜の場合、まあ仕方ないと思うしかない。


正直、朝からよくやるなと思う。



あたしだってありのままの自分を出しているわけではもちろんないけれど、心菜程ではない。


それにみんながまんまと騙されているのがまた面白い。



多分、騙されてないのはあたしとあとひとりだけ。




「やっぱり変な感じよね、クイーンとプリンセスとプリンス。
中身はみんな似たような性格」


心菜はまた声の大きさとトーンを落として話し始める。


「何を今さら」



「別に、不思議だなって思っただけよ」



「ふーん」



「あ、プリンスの登場」