あれはいつのことだっただろう。
高校生か、はたまた中学生の時か…。

四月の第一週目の週末に毎年行われる桜祭りに二人で行った時に見た景色。
雲一つない抜けるような青空と、満開の染井吉野。蒼と薄紅色のコントラストがとても綺麗で、芝の生えた河原から二人並んで眺めてた。時折吹き抜ける風が花吹雪を透き通る蒼に舞い上げる様はまるでドラマや映画のワンシーンのようで、同時に歓声を上げた。

「空に映える桜、私達の名前にぴったり」

そう言って笑ったのは桜の方。私も同じことを考えていたところだったから、まるで気持ちがシンクロしたみたいで嬉しかった。目の前の景色がとても綺麗で、それが私達の名前と同じだったことも嬉しかった。私達の未来はこんな晴れやかで綺麗なものなんだろうと、あの時の私は信じて疑わなかった。

空に舞い上がる桜吹雪。
その光景は何年経っても鮮明に思い出すことが出来る、祭りの喧噪と共に…。一番楽しくて一番幸せだった二人の時間。私達はお互いさえ居れば他に何もいらない、本気でそう思ってた。