Februaryの奇跡



「お待たせしました、三宅ですけど…
って、茅(ちがや)?」

「三宅、久しぶり」


三宅さんは、三島さんを見た途端、驚いたように呟いた。


「久しぶりじゃねーよっ。何してたんだよ」

「はははっ、わりぃ。大学の方忙しくてさ」


随分親しいのか、楽しげに話す二人。

三宅さんの声が聞こえたのか、他の店員も声をあげる。


「茅くん? 久しぶりだねー」

「最近来てくれないよね。髪の毛伸びきってない?」


まわりの雰囲気や言葉から、三島さんがこの店の常連だったってことが分かる。

けれど、最近はめっきり来なくなってしまったようだ。


実際、あたしが三島さんの存在を知ってから、
彼は一度もこの店には来ていない。