「お待たせしました、三宅ですけど…
って、茅(ちがや)?」
「三宅、久しぶり」
三宅さんは、三島さんを見た途端、驚いたように呟いた。
「久しぶりじゃねーよっ。何してたんだよ」
「はははっ、わりぃ。大学の方忙しくてさ」
随分親しいのか、楽しげに話す二人。
三宅さんの声が聞こえたのか、他の店員も声をあげる。
「茅くん? 久しぶりだねー」
「最近来てくれないよね。髪の毛伸びきってない?」
まわりの雰囲気や言葉から、三島さんがこの店の常連だったってことが分かる。
けれど、最近はめっきり来なくなってしまったようだ。
実際、あたしが三島さんの存在を知ってから、
彼は一度もこの店には来ていない。

