男は夜で暗い自分の顔をさらに暗くして言った。




「私…。ごめんなさい。」


羽朶は自分で分かっていても落ち込まずにはいられず明らかに表情に出る。




「あなたは…、私の唄を聞いてくれていたのですか?」


「えぇ。」




窓に射す月の光で部屋に浮かぶ彼の影。


羽朶は唄が少しだけ浮かんだ気がした。




「ありがとうございます。」


「いえいえ。」




羽朶は、彼を部屋に招き入れようと窓を開けた。


けれど彼は首を軽く振って、




「また来ますから。」


それだけ言ってふっと消えた。




また、


会いに来てくれるのでしょうか…。