「あ、あの…」
窓をノックする辺り、危ない人ではないと羽朶は思った。
あなたは一体どちら様ですか?
そもそも大丈夫ですか?
けれど人が外から来た事はやはり恐怖で、どの言葉も口から出ない。
「驚かせてしまってすみません。」
羽朶がおどおどしていると、外にいた影は突然話し始めた。
羽朶はびっくりしながらも、ベッドの上から窓の外を見ようとこっそり首を伸ばしている。
「僕は姫様に会いにこちらまでやって参りました。」
「私…にですか…?」
「えぇ。」
外の影は続けて、羽朶に気を使っているのかゆっくり優しく話しかけている。


