撫子は手を合わせて、
「いただきます」
を、呟いた。
古ぼけた、丸いテーブルに木で出来た椅子。
いかにも控えの人が使うような代物。
普通のお姫様は使わないでしょう。
羽朶はあまり気にしなかったけれど、撫子は少し気に止めていた。
璃由と1つしか違わない羽朶なのにどうしてここまで扱いが違うのか。
これじゃ普通の女の子。
普通の家にある風景。
違うのは、羽朶が王族の血を引いていて、見た目だけがお姫様っぽいところ。
青い透き通った瞳に、つやつやとした髪、華奢な体。
誰もが振り返るほど可愛らしい。
「ごちそうさまでした♪」
羽朶は手を合わせて言った。
「あの…、撫子さん。」
「はい、何でしょうか?」
羽朶は撫子を見ていたが、すっと顔を伏せた。
「いや、何でもないです。」
自分で片付けようとすると撫子が慌てて止めるので、諦めてる皿を置いて、もう一度「ごちそうさま」を言うと部屋を後にした。


