お手伝いさん「撫子」は羽朶専属のような感じだった。
城の中で話すことが少ない羽朶が、実際一番知ってる人といえば撫子なのである。
「…。」
…夜が待ち遠しい。
早く、夜が来ないでしょうか。
……。
「お待たせしました、今日はハンバーグですよ。」
撫子は羽朶に優しく笑いかける。
羽朶は皿に乗った温かそうに湯気を立てるそれを見た。
「おいしそう。」
羽朶は撫子に同じように笑いかけた。
「さ、冷めないうちにいただきましょう。」
「いただきますっ」
羽朶は手を合わせると、フォークを握った。
ナイフは特に使わない。
「やっぱりおいしいです♪」
フォークで切り分けたそれを口に運びながら羽朶が言う。
撫子はそんな羽朶を見つめながら微笑んでいた。
「撫子さんも食べて下さい。」
羽朶はまだ食べようとしない撫子に気付いて言った。
「はい、いただきますね。」


