「じゃあ、オレこれから日曜の試合の打上げだけど留守番できる?」と聞くと
「大丈夫だよ」と言う返事。とともに、
「打上げ花火?俺も行く。」とマサ。
「違うよ、
 打上げって言ったら勝った時にみんなで体持ち上げるやつだよ。」とケンが言う。
少し前より体は大きくなったけど言っているそれは違うよ
「胴上げ」と独り言を言いながらさっさと着替えて
外へ出るとまだ夏の日差しは強かった。

 仲間と会って試合のように熱くなって話していたら、携帯電話が鳴った。
 「あっ、お兄ちゃん?打上げ花火終わった?」と言う声。
「どうした?お母さんまだか? 腹減ったか?」と聞いてみた。
大丈夫だと弟達に言われてもなんとなく気になってくる。

でも仲間に(弟達が過去に戻った)などと言ったら付いて来そうなので
「明日バイトあるから」と早めに帰宅した。

二人仲良くテレビをつけたまま眠っていた。
その寝顔はやはり少し大きくなっていた。
ベットに運ぶのも面倒なのでそれぞれにタオルケットをかけてやった。
テーブルの上の金平糖がだいぶ減っていた。

自分も食べたら大人になるのだろうかと考えたけれど
老人になったらどうしようかと思いつつ眠りについた。

「「いつまで寝てるのお兄ちゃん。」」と母の声で目を覚ますと
いつの間にか先に起きている弟達は、スイカをほおばっていた。
その横顔は、うっすら髭が生えていた。オレはそのままだった。