「来いよ」 手を掴んで、彼は私を何処かへと連れて行く。 不思議と怖くなかった。むしろ、掌が温かくて心地よかったんだ。 誰かに手を握られたのなんていつぐらい前のことだろうか。 しばらくして、着いた先は公園だった。 夜の公園に広がる黒い空に、星が光る。 私の住むマンションにも、あのネオン街にも星は無い。 周りが明るすぎて輝けない星は、ここでは、こんなにも綺麗に瞬いている。 「…どうして、あないな場所にいたん。」 先に口を開いたのは彼だった。