貧乏姫と金持ち王子




車に乗って、エンジンをかけると、悠翔さんは携帯を取り出してどこかに電話を掛け始めた。


どこに掛けるんだろ……。



「夜分遅くに申し訳ありません。藤原です。こんばんは。雪さんを今日1日お借りしても宜しいでしょうか?」



お母さんに電話してるんだ……。



「はい…はい…。明日、僕が責任持って、家まで送り届けます。はい…。では失礼します」



悠翔さんが電話を切る。



「お母さん……"どうぞどうぞ"って言ってた」



悠翔さんがクスッと笑う。


お母さんったら……。


"もっけて泥棒"みたいに言って~!もぅ!


私もクスッと笑った。


初めてのお泊まりデート。


ドキドキしてる。


悠翔さん、ありがとう。