貧乏姫と金持ち王子





「雪?俺だって帰したくないよ。雪とずっといたい。だけどそういうわけにはいかないの」



悠翔さんが、小さい子に言うように優しく言った。



「何で?私が子供だから?」


「そうじゃないけど……」


「じゃー、私のワガママ聞いて?」



しばらく考え込む悠翔さん。


きっと"ダメ"って言うに決まってる。


悠翔さんに嫌われたくない。


だからもし、また"ダメ"って言われたら諦めよ……。



「わかった……」


「えっ?」



悠翔さんの意外な言葉に、悠翔さんの顔を見た。



「とりあえず車に戻ろ?」


「うん」



私と悠翔さんは立ち上がり、手を繋いで車に戻った。