貧乏姫と金持ち王子





「もう遅いから送って行くよ」



唇を離した悠翔さんが、私の頭を撫でながら言った。


えっ?


もう、バイバイなの?


もっと悠翔さんと一緒にいたいよ……。


バイバイなんてヤダよ……。


私の頬に涙が伝う。


それを悠翔さんにバレないように手の甲で涙を拭った。


けど……。



「何で泣くんだよ~」



悠翔さんに泣いてるのがバレた。


そして、優しく微笑むと、指で涙を拭ってくれた。



「まだ……帰りたくない……」



私は俯いて呟いた。


最初のワガママ。