貧乏姫と金持ち王子




いろんな形の火花を散らす線香花火。


線香花火の光だけが私たちを包む。


一瞬の静寂。


その時─―。


悠翔さんが私の体をそっと抱き寄せる。


それと同時に、線香花火の珠が落ちて辺りが暗くなった。



「雪……」



名前を呼ばれて、悠翔さんの方を見た。


悠翔さんの唇が、私の唇に重なった。


そのまま強く抱きしめられる。


悠翔さんと初めてのキス――。


私の心臓は、うるさいくらいドキドキしていた。