「俺、親の後を継いでるわけじゃないよ。今の会社は俺が自分で資金を溜めて、起業した会社だから。会社名を見てもわかるでしょ?」
「そ、そうだったんですか……」
「俺の親父は社長だけど、現役を引退して、今は兄貴が社長。それに親父の会社は、俺の会社とは全く関係ないし」
悠翔さんがクスクス笑う。
彼女もいなくて許婚もいない。
でも……私のことは何とも思ってないよね?
だって、私は子供だから。
悠翔さんと10歳も年が離れてるし……。
「雪って、面白いね」
悠翔さんはそう言うと、運転しながら私のホッペを摘んできた。
ねぇ、悠翔さん?
あなたは私のこと、どう思ってるの?
優しい言葉を掛けられたり、頭を撫でられたりしたら……。
私……勘違いしちゃうよ?



