汚いスニーカーを脱いでパンプスに足を入れる。


うそ……ピッタリ……。



「よくお似合いですよ」



店員さんがニコニコしながら鏡を持って来てくれた。


鏡の中に映る私の足元。


私を待ってたかのようにピッタリ合ったパンプス。


気分はシンデレラ。



「こ、これ下さい!」



店員さんに言う。



「ありがとうございます」


「あの……履いて帰りたいんですけど……いいですか?」


「いいですよ」



店員さんがスニーカーを袋に入れてくれて、パンプスの値札を切ってくれた。


初めての給料で買ったパンプス。


私はパンプスを履いて靴屋さんを後にした。


歩くたびに"コツコツ"って音がする。


大人になったような感じがして嬉しくなる。


ふと、店内にあった時計を見ると……16時。


やっばーい!
桜のお迎えに行かなきゃ!