「雪?何見てんの?」
レジでお金を支払った悠翔さんが声を掛けてきた。
「ケーキ……綺麗だなぁと思って……」
私は、ショーケースを見つめたまま言った。
「ケーキも買ってく?」
腰を曲げて、私と同じ高さの目線になった悠翔さんが言った。
「い、いや……いいですいいです。食事をご馳走になって、お土産まで買ってもらった上にケーキまでだなんて……」
私は、手を左右に大きく振った。
「いいから。どれがいい?」
悠翔さんが腰を伸す。
「ホントに、いいんですか?」
私は、悠翔さんの顔を見上げた。
「いいよ」
「じゃー、このショートケーキを3つ」
私は、イチゴのショートケーキを指差して言った。