貧乏姫と金持ち王子





「あ、あのぉ……」


「ん?」


「私、あなたの名前も聞いてないし、どんな仕事をしてるかも知らないんですけど……」


「そうだったね」



信号待ちの時に、彼はスーツの内ポケットから名刺入れを取り出し、1枚名刺を抜き取ると私に渡してくれた。



「ベ○ツ正規ディーラー……株式会社ラ・シエル、代表取締役社長 藤原悠翔(フジワラ ユウト)……」



声に出して読んでみる。


えぇぇぇ!!!


この人、社長さんなのぉぉぉ!!!


通りで高そうな時計をして、こんな鏡のように磨かれたベ○ツに乗ってるわけだ。


どうしよ……。


とんでもない人と食事することになっちゃったよ~。