貧乏姫と金持ち王子



「雪?」



悠翔さんが私の顔を覗き込むように見る。



「ゴメン…なさい…」


「雪…ゴメンな…勝手に決めて…」


「ううん…違うの…悠翔さんの優しさが嬉しくて…。お母さんや海や桜のことも考えてくれてるのが嬉しいの。でもね…」


「でも…何?」


「悠翔さんの御両親は何て思うかな?と思って…」


「それなら心配しなくていいよ。親にはちゃんと話してあるから」


「それで…御両親は何て?」


「雪には悪いと思ったけど、親に全て話したんだ。そしたらさぁ…親父が家を建てて皆で暮らしたらどうかって言ってくれて」


「えっ…」



私は顔を上げて悠翔さんの顔を見る。



「だから雪は何も心配しなくていいんだよ」



悠翔さんの手が伸びて、私の頭をポンポンって軽く叩いた。