貧乏姫と金持ち王子



「そっちのケーキも食べるの?」



悠翔さんが私が用意したケーキの箱を指差した。



「実はね…これ、お母さんが持たせてくれたって嘘なの…」


「えっ?」



悠翔さんが目を見開く。


私は箱を開けて、ゆっくりケーキを出した。


チョコプレートに書かれた文字を見て、さらに目を見開く悠翔さん。



『Happy birthday
ゆうとさん』



「雪…」


「悠翔さんの漢字難しいから平仮名にしちゃった」


「手作り?」


「うん…。不格好でゴメンね」



私は笑いながら言った。


悠翔さんはクリスマスイブが誕生日だから…。


だから今年から誕生日も祝ってあげようと決めたんだ。