貧乏姫と金持ち王子


腕を掴まれたまま部屋の中に引きずられる。


彼は私の腕を離してソファーに座った。


私は足の力が抜けて、その場にズルズルと崩れ落ちた。


フローリングの床に涙が落ちていく。



「やっと2人きりになれた。この時を何年待ったと思う?」



彼がクスッと笑う。


体の震えが止まらない。


頭に浮かぶのは悠翔さんの顔。


助けて…。



「どうして泣くの?」



彼はソファーから立ち上がり、私の前に座った。



「怖い?」



私は無言で頷く。



「どうして?俺、あいつより優しいよ?」



彼の手が伸びて、私の頬に流れる涙を指で拭った。