私は、ドアノブに手をかけようとした。
「佐藤さん、逃げちゃダメですよ!佐藤さんが逃げたらiPod買ってもらえないじゃないですかぁ」
凜ちゃんが私の手を掴む。
「騙して…たの?」
「騙してないですよ。私はただお兄ちゃんに言われた通りにしただけですから」
「そんな…。凜ちゃんがこの人の妹だったなんて…」
私の目に涙が溜まる。
私が俯くと、涙がポタポタ床に落ちていく。
「じゃ!あとは楽しんで下さいね!お邪魔虫は消えま~す」
凜ちゃんはそう言うとドアを開けた。
逃げれるかも…。
私が外に出ようとすると、
「逃げれないって言ったでしょ?」
と、彼が私の腕を掴んだ。
凜ちゃんが外に出た後に、彼は私の腕を掴んだまま鍵をかけてチェーンをした。



