「あっ!佐藤さん!携帯の番号とアドレス教えて下さいよ!」
「えっ?」
「ダメですか?」
「ダメじゃないけど…ちょっとビックリしただけ」
凜ちゃんとはプライベートな付き合いはないし…。
番号とアドレス聞いたって意味ないと思うんだけどな。
「私、今月いっぱいで辞めるんですよ~。こうして知り合えたのも何かの縁ですし」
「辞めちゃうんだ…」
「はい。これから年末にかけて何かと忙しいので、バイトする時間がなくて…。ほら冬ってイベント多いじゃないですかぁ?」
「そうだね」
私は苦笑いをする。
凜ちゃんって幸せな子なんだろうなぁ…。
私みたいに生活のために働いてるわけじゃないし。
私は鞄から携帯を取り出して、凜ちゃんに番号とアドレスを教えた。