貧乏姫と金持ち王子



「どうして…桜を…」


「だって…こうでもしないと君と話が出来ないから」



彼はフッと鼻で笑った。



「あなたのしたことは犯罪ですよ!」



私は、泣きそうなのを必死で抑えながら言った。



「犯罪?人聞きが悪いね」


「だってそうでしょ?桜を勝手に連れ出して…」


「勝手に連れ出したわけじゃいよ。保育園の先生に親戚だと言ったら信用してくたよ」


「もう…やめて下さい…」



私の頬に涙が伝う。



「何で泣くの?俺が怖い?」



私は無言で首を縦に振る。



「何で怖がるの?俺、優しくするって言ったよね?」


「私は…あなたが…怖い…。あなたと付き合う気もない…」



私は下唇を噛み締める。


彼はしばらく黙っていた。