貧乏姫と金持ち王子



「警察に電話する?」



あっ…。
その手があったか…。


でも…。



「あの人、代議士の息子なの。警察に捕まってもすぐに釈放されると思う…。それか権力に任せて揉み消されるか…」



教師になったのも親の力が働いてるって噂がある。


だから警察に言ったって、無駄のような気がした。



「そっか…」



真由が力なく言う。



「真由?もう少し探すの手伝ってくれる?」


「もちろん!桜ちゃんの好きそうなとこは?心当たりない?もしかしたら、ヤツが連れて行ってるかも…」



桜の好きなとこ…。


もしかしたら…。



「前の家の近くに公園があったの。その公園が好きで、保育園の帰りに毎日のように寄ってたんだ」


「そこ行ってみよ」


「うん」



私と真由は公園に向かって走った。