「これ貸してあげるから電話かけな?」 彼が携帯を差し出す。 携帯を持ってないって言ったら絶対に笑われるかと思ってた。 でも彼は笑わなかった。 「あ、ありがとうございます。お借りします」 私は彼に借りた携帯から保育園と自宅に電話した。 桜のお迎えは海に頼んだ。 海が夏休み中で家にいて良かった。 「助かりました」 私は彼に携帯を返した。 「どういたしまして」 彼が笑顔で携帯を受け取り、携帯をスーツのポケットに入れた。