貧乏姫と金持ち王子





「妹を保育園に迎えに行かないといけないんです……」


「そっか……。とりあえず保育園に連絡入れてみたら?」


「私、携帯を持ってないんです……」



そう……。


私は今時にしては珍しく携帯を持ってなかった。
別に不便じゃないから。
それに電話代だってもったいない。


でも、海や桜に何かあった時のためには、携帯を持っていないとなぁ……とは思うんだけど……。


私は周りを見渡して公衆電話を探した。


今は携帯の時代。
公衆電話は見当たらない。



「あの……ちょっと公衆電話を探してきます」



私が傘を置いて、公衆電話を探しに行こうとした時──。


彼に手を掴まれた。