うんともすんともいわないパンプス。 私の焦りは頂点に達していた。 桜は今頃、泣いてんじゃないのかな……。 桜の顔を思い出すと、こっちまで泣けてくる。 「あの……」 「ん?」 彼はパンプスと格闘しながら返事をした。 「今……何時ですか?」 「今?」 彼が手を止めて腕時計を見る。 「17時だけど?」 「えぇ!もうそんな時間!?やっばーい!」 「何か用でもあるの?」 彼の手が再び動き始める。 どうしよ……。