授業が終わり、休憩に入る。
「ゆかりぃ」
恵美は近付く。
「なに」
頬杖をついて、横目で恵美を見る。
恵美は、ニコニコしてる。
「私、あの人狙うわ」
「あ、そ」
私は真正面を見る。
「…………(イラッ)………あっれ!?」
恵美は目を見開いて、ドアのほうを見る。
その声に皆ビックリしたんか、皆もドアのほうを見る。
すると、女子は大騒ぎ。
そう、あの芸人さんの一人が来ていた。
細い体に、繊細な茶髪。
細い眉に、少し奥二重な目。
あんまイケてない方の人や。
芸人ってやっぱモテるのか。
「これ誰のー?」
手に持ってたのをあげたのは、ピンクの水玉の可愛らしいハンカチやった。
まさに……
私の。
「あれ、ゆかりのちゃう?」
「せやけど…」
「行ってこいや!!」
バンッと、私の背中を押した。
もう戻れないわ!!
「…………………………私のです」
ちっちゃい私を、見る。
この人背高すぎ。
「あれ?君朝会った子ちゃう?」
笑いながら、私を上から見る。
「はい……」
感情を出せない私は、無表情。
「気ぃ付けやぁ(笑)?ほれ」
私の頭をグシャグシャに撫で、ハンカチを渡して帰って行った。
「くずれた…」
グシャグシャになった黒髪のセミロングとぱっつんをなおす。
「なぁ、どやった!?」
恵美は興奮しとる。
皆、呆然と私を見てる。


