いつも笑わせてくれる貴族





「……………お、大谷っ!?」

ば、バレもうた………。


後ろを向いていた私には、どうすることもできん。

きっとそれは、瀧口もや…。



「お前何してるん!?」



「はっ?」

こいつ関西弁や…。

瀧口のほうを勢いよく振り向くと、いつもと違う顔。

全っ然普段とちゃう。

か、可愛らしい…。



「もしかして…聞いてた…?」


「………」

私は目を泳がす。


「俺実は…芸人やねん。実は東京に元からいたん違くて………」


「瀧口君?何しとるん?」

笹倉さんと石田さんも来た。
もう逃げ道はない…。


「ゆかりちゃん!」
笹倉さんはビックリしてた。

…まぁ、それは当たり前やな…。


「ちょっと…通りかかっんです…」


「そうなん?」
石田さんが頭を掻く。


「もう暗いやろっ。帰りや」

瀧口が言う。

「帰らせるんっ?」

「そりゃあそうですわっ。ほら帰れ!」


私の背中を押す。

「こんな暗いのに一人で帰るの危ないやないか」

「…………………平気です」

私はそのまま走った。