いつも笑わせてくれる貴族




「ここ付け足して、ここ足すの」

よう分からん。
この構造むずいねんて。

「違う。ここもっとこうするんだよ」

この構造細かいなぁ。
柄も決めなきゃあかんし。

「だーかーらー」

「分かっとるよっ」

教室には、人は誰もいなくて声が響く。


「ここ、こうやって…」


「ぬー…」

意外とこれ、頭使うんや…。

だんだん鉛筆の芯が短くなってく。

遂には、鉛筆の書く音しか聞こえなくなってきた。

瀧口も頬杖ついて、暇そうにしてる。
段々コツも分かってきた。

「そうそう」







ガチャッ………




ドアが開いて、誰か入ってきた。

ドアのほうを見たら、笹倉さんが来ていた。


「明かりついてる思たら、ゆかりちゃんとかいたんか!」

「は、はい」

「ちょっと瀧口君、来てくれん?」

「あー、はいはい」


瀧口は、教室から出て行った。
私は気にせず構造をやり続けた。