いつも笑わせてくれる貴族







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「ここの構造がこうなって、こうなってます」

昨日の課題の勉強をしとる。
なかなか私には分からんかった。


「そしてここを計算してからここ付け足すと………」

先生の声が雑音に聞こえる。
最近石田さんの事しか考えられん。
最近授業に真剣に取り組めん。
最近授業で遅れとってる。




「真帆、ここ分からんねん。教えて」

「……、あーここ私も分からんから書いてへん。同じやー」

「………………」
バカや馬鹿やばかやこいつ。


「ここ分かる?」
もう一人の隣の席の人に聞く。

その人は、結菜ちゃん。

「ここ、うちも分からんねん…ごめん」


……仕方ないな。


私は大学ノートを1ページ破って、それに書く。


書き終わったら、それを後ろの瀧口にまわす。
内容は、(5)のとこ分かるか。
って書いた。


瀧口は一瞬ぽかんとしてたけど、その内容を見たら素早く返事を返してきた。


中身を見る。
<うん。分かる。じゃあ授業終わったら見せてあげるよ>

この授業終わったら帰る時間なのに…。