いつも笑わせてくれる貴族



「……?」




窓を見ると、外がピカッと光った。
真っ白に。



これはもしやと思った…。




「か、雷や………」


私は雷が大の苦手。
あたるとむっちゃ怖いやん!!




稲光がすごく、その後の雷の音が近い。



「ヤやーっ、怖い…」

ビビりながらも、早くも構造を仕上げてく。










「大谷?」




「え」


私は、ドアのほうを見た。
そこには、瀧口が立ってた。

今の声とか、聞こえたん…?




「お前、雷苦手なの!?」

瀧口は、笑った。
このぐるぐる眼鏡。
うるさいわ。

「俺忘れ物取り来たんだけど、傘貸そうか?どうせないんでしょ?」

クスクス笑う瀧口。
腹立つわー。
何笑うてんねんこいつ。


「ええわ。走って帰る」

もうすぐ仕上がり。
カリカリとシャーペンの芯の音だけが、教室内に響く。


「お前雷だめなんだろ?傘くらいさしてけって」

瀧口は机の中から、ノートを出した。
それか、忘れもんは。

「ええ言うてんねん」


「後から泣きついても知らないよ!」

二カッと笑う瀧口。
ほんまムカつく。

その潤った唇、うっとうしい!




「……終わったわ…」

デザインが仕上がり、自分の鞄の中に入れる。

そして颯爽と走る。
瀧口なんかに先行かせるか。