いつも笑わせてくれる貴族



「せやんな?」

「…ちゃうわ」

「なんで教えてくれんの?」

「無理な恋って分かってんねん」

私は再び腕を組む。

「ええやん、教えろや…」



「……………………ヤーや言うてんねん!!しつこいねんゲス!」


感情を久々に出した。

いつも泣くばっかの感情やった。



「…ごめん」

田村は申し訳なさそうに、頭をカリカリと掻く。



「もう戻ってええ?」


「うん」


悲しそうな田村を残して、私は戻る。

あんなへこむ田村、初めて見た。
いつも明るいのに。
正反対になったな。











「ゆ~か~り~」

戻れば、皆ニヤニヤしてこっちに近付いてきた。


「何」

冷たく接する。

「この幸せ者~」

希由が私の肩を叩く。

「何が」



「付き合った?付き合った!?」

希由が興奮して聞いてきた。
田村のこと、皆知ってたんや。


「付き合う訳ないやろ。あんな奴」


「…………あぁ、そか…」

一気に皆冷めた。






はぁ……石田さんがいれば、機嫌は直ったわ。