「………ん?」
私はただ驚くことなく、ここに呆然とおる。
5秒前……何があったん?
何、自分、告られたん……?
「おい、聞いとるんかっ?」
ボケた声で言う田村。
嘘やん。
無愛想な自分が。
田村はいつも私に口うるさかったやんけ。
「…なんやねん、お前」
私は田村を疑視する。
「いや…。口うるさかったんやけど………かまってほしくて………」
あぁ、中学生っぽいな。
そんなん、大学で許せる思ってんのか、子供。
「無理やわ」
私は堂々と断った。
「……なんでや」
「私、他に好きな人いてん」
「それ誰なん?」
「言えへん」
当たり前に無理な恋なんて分かってる。
きっと、田村もそう思うかもしれん。
だから言わないんや。
「言いや」
「ヤや」
「どーせ、あの笹倉さんって人やろ」
……おしいねん。
「だから、言わん言うてるやろ」
「お願いだから教えてください」
この展開、小学生でよくあるパターンや。
「無理やって」
「……石田さん?」
「……」
私は黙ってもうた。


