いつも笑わせてくれる貴族


「あのな、明日お笑いライブあんねん」

昨日のいつものスマイル。


「そうなんですか。私見に行きますよ」

そう言うと、笹倉さんはもっといいスマイルを見せた。
本当に輝いてる。




「ほんまなん!?うわぁ、そう考えるとむっちゃ緊張する」

すごく恥ずかしそうに俯く姿。


「あとな、俺歌手ってのもしてんねん。またその今度ライブあんやけど………………来てくれん?」




まさかの言葉に、私は驚く。


こんな私を誘って何がええんやろ。




「チケット二枚余ってん。だから友達と一緒に来てくれへんか?」

そう言ってチケットを出してきた。


それをゆっくり受け取る。


受け取ると、また笹倉さんスマイル。




「ありがとな」



「…………」

その笑顔は、すごく輝いてるわやっぱ。






「おい、大谷。こっち来いよ」

瀧口が私を呼ぶ。

「なんやねん」

そう言うと私の腕を掴む。
ビックリするわ。




「ちょっと!!何すんねん!!」




私はまた昨日に続き瀧口に大声で怒る。





「あ………………ごめん…。なんか…」






「…………………ええよ」






もう笹倉さんはいなかった。