「君今日朝会った子ー……だよな?」
「はい」
私も何照れてるんやろ。
人には感情出ないのに。
「俺な、笹倉言うねん」
この笑顔……普通にかっこええ。
「君は?」
「私は……大谷ゆかりです…」
俯いて歩く私。
あぁ……バカだ。
「……ゆかり言うんか。お前やけに暗いなぁ。なんかあったん?」
優しい声の音色が耳にすぐ入る。
「生まれつきなんです」
俯いたまま。
これがいつもの私。
「嘘やん。生まれつきはあり得へん。なんかあるんやろ?」
生まれつき…じゃなかったら何があるんやろ?
きっと……そうや。
親からの虐待。
昔からされて、こうなったかもしれん。
腕にも昔リスカした痕もある。
「…………………虐待かも」
そう言うとしばらく沈黙。
クシャッ。
私の頭を撫でる大きな手。
これは、笹倉さんの手?
「だからか……。その事誰にも話してないやろ?」
まさに正解。
言う暇なんてない。
私はゆっくり頷く。
「ちょっと向こう行こか」
笹倉さんが指差したのは、公園だ。


