その先生の声に教室が一瞬、ざわめいた。
きっとあの噂のせいだ。
『裕貴と先生ができてる』
あの噂。
本当だったら…いや、考えないでおこう。
もし本当じゃなかったとしても、
そんな噂をたてられるってことは、
少なくとも何かあるんだ。
先生と裕貴の間に。
「はぁ~…」
そんなことを考えていると溜め息が出てしまった。
もうやめよう、ホントに。
裕貴のこと考えないでおこう。
考えてると落ち込む一方だ。
あたしは立ち上がり教室を出た。
あ、そう言えば調べ物があったんだった。
「渚ぁ~図書室行くけど来る??」
「うん、行く!!」
ただ図書室に行くだけなのになぜかウキウキの渚と廊下を歩いて行く。
遙か向こうのほうに裕貴の姿が見えたのは…
気のせいなんだろうか。


