「ねぇ~桃ぉ~」
最近、渚はなぜかあたしを『桃』と呼ぶ。
なんで今さら『子』を省いたのかよく分からないけど。
「ん?なに??」
「なんかさ、最近元気ないよねっ?!」
あたしの机に手をついて心配そうに顔を覗き込む。
「え?そうかな?」
あの噂を聞いてから数日が経った。
裕貴からはあの日にメールがきた以来1度も来てない。
話しかけられることもなくなった。
「そーだよ!だってここが引きつってるよ?」
渚はそう言ってあたしの頬をつねった。
「いひゃいよ~」
涙目で渚を睨む。
そうすると渚は手を離し
「えへ?ごめんね?」
そう言って笑う。
あーぁ…痛かった…
ってかあたし…うまく、笑えてない?
渚に頬が引きつってるって言われちゃうくらい笑顔、作れてない?
「じゃあ今日はこれで終わりです。
あー…そうだ、井川くん、あとで私のところ来てくれるかな?」


