姫守の城 (仮)

「ふふ」と徐に襟のリボンをしゅるりと引き抜き、上からボタンを三つ解いた。そこはかとなく谷間強調上目使い。

「ねぇ…、ナナ」

「ナナっ?」

「あの夜の甘さ、覚えてる?」

「あの夜なんて知らないし、下に変換すんじゃねー」

「あう」舌をちょろっと出して『てへ』って感じに笑った「失敗しちゃった」

 …何だろなあ。可愛いと自覚してるうえでの可愛さのゴリ押し。生物学的、ヒト型の雄に抵抗の術は在るのだろうか…。ん?はて、なんの話をしてたんだっけ?

「おっぱいの話だよ」

「あー、そうでしたね。失念です」

「もー、まーくんだけなんだからね!このおっぱい触っていいのは」

「ははは………………………………………はあ?」

 正気を取り戻すのにたっぷり五秒掛かった。何を言い出すんだこの人は。
 いや、止めてくれ!その《だっちゅーの》ポーズ。谷間が!あっ、いい匂い。違う現実逃避してる場合かっ!

「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」

「あなたは死なない。私が守るもの」

「かぶせてくるなっ振ったの僕だけども!」