姫守の城 (仮)

「何かありましたか?」

 とりあえず惚けてみた。

「あったんです」

 流させてはくれないらしい。どうやらご立腹の様子。食事の最着用していたエプロンを脱ぎ、至って真面目な表情で隣の椅子を指差し「お座りなさいな」と静かに瞳を閉じた。僕は素直に従った。

「麻里くん。あなたはあたしのおっぱいを侮辱しました」

「はい?」ちょっと待て、この人今何て言った?おっぱい?いやいや、いやいやいや、そんな馬鹿な。断言する、僕はおっぱいを侮辱した覚えなど一度もない!たとえ早織さんのであろうとも、だ。「ちょっと待ってく」

「黙らっしゃい」

 ピシャリと言い退けた。まさに電光石火。そして言葉と同時に開いた眼には唯ならぬものが宿っていた。

「Fカップです」

「え、Fっ?」

「そうFカップ」敷島さんは胸を張り追い討ちを掛ける「それでいてお椀型」

「なんとっ!」信じられない最強の組み合わせだった。重力を無効化出来るのか、この人は。とんでもないスキル。はっ!神、そうか、あの話は本当だったんだ。
 刹那。勝利を確信したかのようにニヤリと、不敵に、笑んだ敷島さんを僕の視界は間一髪捕らえる事が出来た。緊張感が走り背中を冷たい雫が通り抜ける。何だ?何が起こった?僕は新手のスタンド攻撃を受けたのか?
《詩歌・プラチナ》なんとも語呂が悪い。センスの欠片も見当たらなかった。