姫守の城 (仮)

「いや、解ってもらえれば良いんですがね、僕も大人気なかったですし。そんなことよりも、僕は気配を消して近づかないで欲しい、と遠回しに言ったつもりだったんですが」

「おお、それはそれはお姉さん気が付かなかったね。それならそうと言ってくれれば良いのに、まーくん意外といけずなんだよ」

 《いけず》どんな意味だったっけ?そもそもそんな日本語僕は聴いた事がない。意味合いも悪い気がする。これも無視。

 二、用件を聞いてみる。

「なにしにきたんですか?」

「なにしにって、カレーだよ、カレー。さおりんに聞いたから来たんだよ?」

「食べるんですか?」

「当たり前だよ、日本人はカレーだよ」

 日本人はカレーらしい。

 三、『ピーピーピーピー』…もういいや、米炊けたし。

「好きなだけ盛って下さい」と敷島(しきしま)さんを厨房に残して僕はさっさと食卓に着いた。