姫守の城 (仮)

「はぁ…、具が玉ねぎと鳥肉だけってなんだよ?」

「わたしは好きだけどねー」

「きみに好かれてもね」

「うー、つれないよー、愛が足りないと思うなっ」

「そんな成分僕を構成するものに含まれてないな」

「か、勘違いしないでよね、別にあんたの事なんか好きじゃないんだから!」

「何?急に」

「ツンデレだよ、ツンデレ。知らないの?まーくんおっくれってるぅー」

「いや、それもう古いんじゃないの?そもそも答えになって…、ない…」……あれ?僕、誰と話してるんだっけ?
 と、疑問後一秒で即解決。右下斜め後方、身体が触れるくらい近くにその人がいた。『どうしたの?』と言いたげに少し傾げた可愛い顔を僕に向けている。
 なんだかこの状況で可愛いと思ってしまった自分にがっかりなんだけど、仕方ない。可愛いものは可愛いのだ。
 誤解がないように補足するが、敷島さんはゴシックロリィタと呼ばれる服装を好み、線が細く童顔で、身長が百四十に満ちてない、齢二十七歳の女性だ。一部分を除けば公共機関を子供料金でいけるくらい外見が幼いのだが、胸だけ不釣り合いに大きい。その筋のマニアの間で《神》と呼ばれ奉られているとかいないとか。本人曰く『扇情的だよねぇ、ふふ』だそうだ。